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Console Emulatorモジュール（Producerのみ）

Console Emulatorモジュール

A： クリッピングLED B： Console Emulatorの有効/無効 C： エミュレーションモード D： 出力VUメーター（左および右チャンネル） E： トリム（バスモジュールでは利用できません） F： ドライブ G： トレランス H： RMS/ピークメーター切り替え

アナログテープにレコーディングする場合は、ミキシングコンソールがスタジオの中心的な存在となります。オーディオ信号は、コンソールの回路を通過するときに影響を受けます。各コンソールでは異なる設計とコンポーネントが採用されており、これによって各コンソールの音響に特徴が加えられています。各コンソールのサウンドを決定する要素には、さまざまなものがあります。

デジタルオーディオはしばしば、"特徴"に欠けると批判されます。ミキシングをすべてコンピューター内で行うこと（"イン・ザ・ボックス"や"ミキシング・イン・ザ・ボックス"と呼ばれる）には多くのメリットがあるものの、アナログミキシングコンソールの特徴が失われてしまうことがあります。

Console Emulatorモジュールは、3つのクラシックなレコーディングコンソールの音の特性をエミュレートします。これは、EQやコンプレッサーとは関係なく、オーディオ信号がミキシングコンソールのアナログ回路を通過するときに生じる、わずかな非線形の歪みやノイズを模倣するものです。

Console Emulatorモジュールは、次のような動作原理に基づいています。

入力トランスのエミュレーション。これによって、ヒステリシスおよび周波数に依存したサチュレーションが生じます。

チャネルの周波数レスポンスの形成。

能動ステージのバイアスドリフト。

異なるチャンネルでフィルターの値をわずかに変更することによる、コンポーネントの許容範囲のシミュレーション。

ミックスバスのサチュレーション

ステレオバスでのクロストーク。

アナログコンソールとほぼ同様に、全体的なサウンドの特徴は別々の処理段階を合わせたものになります。コンソールのタイプおよび設定に応じて、次のような利点を得られます。

より広いサウンドのステージ。

空間的な一体感の向上。

低さ、鮮明さの向上。

わずかな暖かみと激しさの向上。

トラックをまたいでレベルのバランス調整が容易。

コントロール

Console Emulatorモジュールには、次の2つのバージョンがあります。

Console Emulatorチャンネル：このバージョンは個別のトラック用に設計されています。

Console Emulatorバス：このバージョンはバス用に設計されています。これには、トリムコントローラがないことを除き、チャンネルバージョンと同じコントローラが含まれています。

Console Emulatorチャンネルおよびバスモジュール

Console Emulatorモジュールには、次のコントロールがあります。

モード：目的のコンソールエミュレーションモードを選択します。各モードで、Console Emulatorモジュールは原型のモデルによく似ています。

S-Type：ロックやポップスのジャンルのミキシングエンジニアに人気のある、クリーンで透過的なイギリスのコンソールをエミュレートします。このコンソールは、ほかのコンソールをすべて合わせても及ばないほど、より多くのプラチナセールスを記録したアルバムで使用されていた可能性があります。

N-Type：Abbey Road、The Village、Ocean Way、Skywalker Soundなどの伝説的なレコーディングスタジオで使用されていたイギリスのコンソールをエミュレートします。このコンソールには暖かみがあり、豊かな低域があります。

A-Type：革新的なイギリスのコンソールであり、これまでに13台しか製作されなかったコンソールをエミュレートします。このコンソールは、Trident StudiosやCherokee Studiosにあったことで有名になりました。このコンソールは、N-Typeコンソールよりも明るい高音と控えめな低音を備えています。一部では、あらゆる時代の中で、これが最高のサウンドのコンソールであると考えられています。

クリッピングLED：Console Emulatorモジュールへの入力信号がクリッピングされているかどうかを示します。ProChannel信号チェインにひずみがある場合、クリッピングLEDがクリッピングの発生場所を特定します。

Console Emulatorの有効/無効：Console Emulatorモジュールを有効/無効にします。

出力VUメーター：これらのメーターは、実際のメーターとまったく同じように、反応よく動作するように調整されています。これらのメーターは、プロフェッショナルなミキシングの状況において必要とされる適切なゲインステージに完全に対応するため、特定のトラックに必要なボリュームについて、ユーザーはより適切な判断ができます。

RMS/ピーク：VUメーターは、RMSまたはピークレベルを表示するように切り替え可能です。一定の周期内におけるオーディオの平均振幅に近い方を表示する場合は、RMSを選択します。RMSとはRoot Mean Squareの略で、通常ピークレベルの70%強程度になります。一定の周期内におけるオーディオの最大振幅を表示するには、ピークを選択します。

トリム：インプットゲインを調整します。有効な範囲は0%～100%で、デフォルト値は0%です。このコントロールはConsole Emulatorチャンネルモジュールでのみ利用可能であり、Console Emulatorバスモジュールでは利用できません。

ドライブ：前処理された入力信号をサチュレーション処理する量を調整します。たとえば、アナログのハードウェアミキサーで、すべてのチャンネルフェーダーを+3dBに設定した場合、チャンネルフェーダーを0dBに設定した場合よりも加算回路でのサチュレーションが大きくなります。このパラメーターを使用すると、加算されるサチュレーションの大きさを制御できます。有効な範囲は-6.0dB～+6.0dBで、デフォルト設定は0dBです。

メモ：Driveのパラメーターは、ドライブの値が-6～+2dBの間にあるときに、実際のハードウェアコンソールにあるフェイダの動作を忠実にエミュレートしています。Driveの範囲が対応するハードウェアよりも拡張されて、値が+2～+6dBのときには創造的な処理が可能になりました。

トレランス：バス回路のコンポーネントの許容範囲をシミュレートします。ミキサー内のすべてのチャンネルは、同じ電子部品によって構成されているために理論的には相互に同等である場合でも、実際にはチャンネル間でこれらの部品がわずかに異なっていることがあります。たとえば、2Kオームの抵抗がチャンネル1で1.98Kオーム、チャンネル2で2.03Kオーム、チャンネル3で1.99Kオームなどのようになっている可能性があります。トレランス・スイッチを有効にすることで、Console Emulatorモジュールのサウンドは、異なるチャンネルでわずかな差が生じるようになります。これらの差は曲の状態にも保存されるため、セッションを再読み込みするときに呼び出すことができます。

Console Emulatorの使い方

コンソールエミュレーションの利点を最大限に得るには、通常、Console Emulatorモジュールを、プロジェクト全体ですべてのオーディオトラックおよびバスに追加します。

Console Emulatorモジュールを初めて使用したとき、聞き取ることのできる結果はわずかなように思えるかもしれません。実際、最初はまったく差がないように聞こえるかもしれません。これは特に、既に曲をミックスした後でConsole Emulatorモジュールを挿入した場合に当てはまります。

個々のトラックやバスを聞いてもその効果はわずかなものです。重なりによって効果が生じる、ということを念頭に置いてください。このため、Console Emulatorを複数のトラックに追加した場合にその効果が顕著になります。

ミキシングを始める前に、Console Emulatorモジュールを挿入しておくことが重要です。信号チェインの中にConsole Emulatorモジュールを配置し、それに基づいてミキシングに関するあらゆる決定を行います。ミキシングが完了したら、Console EmulatorモジュールをA/Bの結果に対して全体的に有効/無効にすることができ、はっきりとした差を聞き取りやすくなります。

ガイドライン：

通常、最初のモジュールとしてConsole Emulatorモジュールを挿入し、ProChannelでポストFX欄が無効になっていることを確認します。ただし、Console Emulatorモジュールを最後に配置し、ポストFX欄を有効にして、すべてのエフェクトや処理済みのサウンドが影響を受けるようにすることもできます。

Console Emulatorモジュールを、プロジェクト全体ですべてのオーディオトラックおよびバスに追加し、クイックグループを使用して複数のインスタンスを同時に簡単に制御します。そのためには、すべてのトラックを選択し、CTRLキーを押しながらConsole Emulatorモジュールを挿入または変更します。

ミキシングプロセスを通じて、Console Emulatorモジュールを有効なままにし、そのプラグインを通してミックスを効果的なものにします。

ヒント：Console Emulatorモジュールを初期状態のProChannelのレイアウトに追加します。この方法により、コンソールエミュレーターモジュールはすべてのトラックで常に利用可能になります。すべてのトラックおよびバスで同じコンソールモードを使用します。

 

関連項目：

ProChannel（ProducerおよびStudioのみ）

ProChannelの使用

ProChannelのモジュールとコントロール

PC76 U-Type Channelコンプレッサーモジュール（Producerのみ）

PC4K S-Typeバス・コンプレッサーモジュール（Producerのみ）

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